、五十を越してからでも、相変らず情熱と誠意を以て泪《なみだ》の名画を拵《こしら》えて、大向うを退屈させたりする芸当は出来やしませんよ。
鉄風 俺は、親子がそう言う争いをすることは好まない。だが、若し俺と諏訪とが一緒になる前に、お前が美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]を何とか思っていたとしたら、それを前以て明にすべきだったんじゃないかね。それというのも、お前達の徒《いたずら》なる狐疑逡巡《こぎしゅんじゅん》の為《な》す所じゃないか。
諏訪 もうお願いだから、そんなことで喧嘩なんかしないで下さいな。妾が言ってるのは、そんなこととは何の関係もないことです。話は簡単です。須貝さんにこの家から出て行って貰うということだけよ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] だって母さん。それは、お気の毒だわ。あの人は、何にも御存じないことだもの、だから、こんなこと、みんな、なかったことにしといたらそれでいいでしょ。ねえ。
鉄風 兎に角、俺は今須貝を放逐する気にはなれんよ。俺は長い間かかって彼奴を一人前の技術家にしてやった。これからというところで、こんな風な出来事で手放して了う
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