は出来ないからね。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 須貝さんのがっかり仕様《しよう》、大変ですのね。
須貝 ボールをね、丁度、草の生えてる凸凹の辺《あたり》へ打ち込むんですよ。そのくせ自分の方は、例のきれいな所でしょう。サイドは絶対に独占する。こっちは陽に向きっきりで……。
未納 だから草を抜いて、ローラーで……。
須貝 ローラーか。どうでもローラー曳《ひ》かせる気か。
未納 お姉さん、手伝ってくれない?
須貝 お姉さんは、テニスなんかしやしないじゃないか。
未納 ええ。でも手伝ってくれるわね。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 何の話? それ。
須貝 いいんですよ。嘘ですよ。
未納 テニスコートをね、ローラーで固めるの。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] まあ。
未納 いけない?
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] いいえ。そりゃ、いけないことなんか、ないわ。
未納 手伝ってくれる?
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 妾? でも、でも妾。
須貝 そら、みろ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1
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