してたんだ。息を殺して汗を流してたんだよ。ところが一向何にも言ってくれない。女はどうも、割に平気だね、こういうことは……。
諏訪 (思い出して)ああ、その話ね、その話だったら、あのう、……(美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]の前で一寸云い難い)ええ、一寸だけ。でもわからないの。まだゆっくり……そのうち……。
[#ここから3字下げ]
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]立ち上る。
[#ここで字下げ終わり]
鉄風 なに行かなくってもいいんだよ。家の中のことだもの。お前にだって、聴いておいてもらわなくちゃァ。(諏訪に)美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]の意見だって聴いておいた方がよくないか。
諏訪 (煮えきらない)ええ……それは……ねえ……。
鉄風 それはねえ、ということはないよ。必要だ。しかし、須貝は何て言うんだね。
諏訪 だけど妾、まだ、何て言っていいか、わからないわ。そんなところ迄話せなかったんだもの。(腹立たしく)あなたがいけないのよ。妾一人に押っつけとくから……妾、知りませんよ、どうなったって……。困ったわ。ほんとに困ったことになったわ
前へ 次へ
全102ページ中54ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
森本 薫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング