んなこと言って。
鉄風 どうするも何も、いないものは仕方がないな。
未納 お給金を上げてやるからって言ってやれば還って来ると思うわ。
諏訪 伯母さんが病気なんて、嘘よ、きっと。
鉄風 その辺のところは何とも言えないな。
諏訪 じゃァ、あなた、そ言ってやっといて下さる。
鉄風 俺がかい!
諏訪 ええ。
鉄風 しかし、どうも、俺が手紙出すのは変だよ。君から出した方が……。
諏訪 妾だっておかしいわ。負かされるみたようで、厭だわ。
鉄風 事実負かされているのだぜ。
諏訪 だって……じゃ未納ちゃん!
未納 妾、書けないわ、どう言う風に書くの。
諏訪 約束通り、お給金を上げたげるからって書けばいいのよ。
未納 それだけ? 他になんにも……。
鉄風 学校で手紙の書き方くらい教わっとるんだろう。(諏訪に)やはりこれは、君が書いた方がいいんじゃないかね。本来君の責任範囲の仕事だよ。それに原因から言っても……。
諏訪 でもあなただって、うっちゃっとけって、賛成したじゃありませんか。
鉄風 しかし、それは……。
昌允 うるさいな、いい加減にしたらどうです。(立上って表の方へ出ていく)
諏訪 美※[#「にん
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