だ。そのお前が後に残って、忠義の侍よ、あれを見よと、わしが世間から囃されるのを聞いていてくれたら、同じ死ぬにも張合があるというもの。わしは思いなおした。どうかわしの言うことを聞いて、後に生き残ってくれ!」
おしおはやっぱり俯向いたまま、何とも言わなかった。小平太は気を揉《も》んで、
「な、わしの言うことは分ったろうな? 分ったら、どうか得心《とくしん》して、わしの言うことを諾《き》いてくれ、な、な!」と、女の背に手を懸けながら繰返した。
「そうあなたのお覚悟がつけば」と、おしおはようよう顔を上げた。「なるほど、わたしは後に残って、あなたの武名が上るのを蔭ながら見させていただきましょう。まだ海のものとも山のものとも分りませぬが、もしお肚の嬰児《やや》が無事に生れましたら、立派にあなたの跡目《あとめ》を立たせます。どうぞそれだけは安心して、後へ心を残さぬように、屑《いさぎ》ようお主の敵を討ってくださりませ」
「そうか、それでやっとわしも安心した」と、小平太は本当に安心したように言った。「なに、妻子を後に残して行くものは、わしばかりではない、同志の中にはいくらもある。わしだけが妻子に心を惹
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