じもたくさんある。中《あた》ったものには、安物の羽子板や、紙鳶や、羽根や、菓子の袋などをくれる。箒や擂《す》りこ木や、鉄瓶や、提灯や、小桶や、薪や、炭俵や、火鉢などもある。安物があたった時は仔細ないが、すこしいい物をひき当てた場合には、空くじの連中が妬《ねた》み半分に声をそろえて、「やってしまえ、やってしまえ。」と呶鳴《どな》る。自分がそれを持ち帰らずに、高座の芸人にやってしまえと云うのである。そう云われて躊躇《ちゅうちょ》していると、芸人たちの方では如才なくお辞儀をして、「どうもありがとうございます。」と、早々にその景品を片付けてしまうので、折角いい籤をひき当てても結局有名無実に終ることが多い。それを見越して、たくさんの景品のうちにはいかさま[#「いかさま」に傍点]物もならべてある。羊羹《ようかん》とみせかけて、実は拍子木を紙につつんだたぐいの物が幾らもあるなどと云うが、まさかそうでもなかったらしい。
わたしも十一の歳のくれに、麹町の万よしという寄席で紙鳶をひき当てたことを覚えている。それは二枚半で、龍という字凧であった。わたしは喜んで高座の前へ受取りにゆくと、客席のなかで例の「や
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