次第です。
わたしは近眼のせいもありましょうが、机は明るいところに据えなければ、読むことも書くことも出来ません。光線の強いのを嫌う人もありますが、わたしは薄暗いようなところでは何だか頼りないような気がして落着かれません。それですから、一日のうちに幾度も机の位置をかえることがあります。したがって、余りに重い机は持ち運ぶに困るのですが、机にむかった感じを云えば、どうも重くて大きい方がドッシリとして落着かれるようです。チャブ台の上などで原稿をかく人がありますが、私には全然できません。それがために、旅行などをして困ることがあります。
もう一つ、これは年来の習慣でしょうが、わたしは自宅にいる場合、飯を食うときのほかは机の前を離れたことはほとんどありません。読書するとか原稿を書くとか云うのでなく、ただぼんやりとしているときでも必ず机の前に坐っています。鳥で云えば一種の止まり木とでも云うのでしょう。机の前を離れると、なんだかぐら[#「ぐら」に傍点]付いているようで、自分のからだを持て余してしまうのです。妙な習慣が付いたものです。[#地付き](大正14・9「婦人公論」)
[#改ページ]
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