も退却の際には必要に応じて破壊したに相違ない。そうして、いったん敵に占領された。それを取返そうとして、味方が再び砲撃した。敵が退却の際にまた破壊した。こういう事情で、幾たびかの破壊を繰り返されたランスの町は禍《わざわい》である。市街はほとんど全滅と云ってもよい。ただ僅かに大通りに面した一部分が疎《まば》らに生き残っているばかりで、その他の建物は片端から破壊されてしまった。大火事か大地震のあとでも恐らく斯《こ》うはなるまい、大火事ならば寧《むし》ろ綺麗に灰にしてしまうかも知れない。
滅茶滅茶に叩き毀された無残の形骸《けいがい》をなまじいに留めているだけに痛々しい。無論、砲火に焼かれた場所もあるに相違ないが、なぜその火が更に大きく燃え拡がって、不幸な町の亡骸《なきがら》を火葬にしてしまわなかったか。形見《かたみ》こそ今は仇《あだ》なれ、ランスの町の人たちもおそらく私と同感であろうと思われる。
勿論、町民の大部分はどこへか立ち退いてしまって、破壊された亡骸の跡始末をする者もないらしい。跡始末には巨額の費用を要する仕事であるから、去年の休戦以来、半年以上の時間をあだに過して、いたずらに雨や
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