苦力頭は軍隊使用の苦力らの取締役のようなもので、胸には徽章《きしょう》をつけ、手には紫の総《ふさ》の付いている鞭《むち》を持っている。丁のような人の眼にも、それが羨《うらや》ましく見えたのであろう。
 彼らに就いては、まだ語ることもあるが、余り長くなるからこの位にとどめて置く。いずれにしても、私たちの周囲にいた苦力らは前に云ったような次第で、ことごとく忠実善良の人間ばかりであった。私たちの運がよかったのかも知れないが、あながちにそうばかりとも思われない。
 多数のなかには、横着な者も狡猾な者もいるには相違ないが、苦力といえば一概に劣等の人間と決めてしまうのは、正しい観察ではないと思われる。それと反対に、私は苦力という言葉を聞くと、王福の兄弟や、高秀庭や、丁禹良らの姿が眼に浮かんで、苦力はみな善良の人間のように思われてならない。これも勿論、正しい観察ではあるまいが――。

     二

 今度は少しくシナの兵士について語りたい。
 シナの兵隊も苦力と共に甚だ評判の悪いものである。シナ兵は怯懦《きょうだ》である、曰《いわ》く何、曰く何、一つとしてよいことは無いように云われている。しかも彼
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