妖怪漫談
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)猟《あさ》って
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「虫+(冉の4画目左右に突き出る)」、339−4]
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このごろ少しく調べることがあって、支那の怪談本――といっても、支那の小説あるいは筆記のたぐいは総てみな怪談本といっても好いのであるが――を猟《あさ》ってみると、遠くは『今昔物語』、『宇治拾遺物語』の類から、更に下って江戸の著作にあらわれている我国の怪談というものは、大抵は支那から輸入されている。それは勿論、誰でも知っていることで、私自身も今はじめて発見したわけでもないが、読めば読むほどなるほどそうだということがつくづく感じられる。
わたしは支那の書物を多く読んでいない。支那文学研究者の眼から看《み》たらば、殆《ほとん》ど子供に等しいものであろう。その私ですらもこれだけの発見をするのであるから、専門の研究者に聞いてみたらば、我国古来の怪談はことごとく支那から輸入されたもので、我が創作
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