くれるのもいいのさ」
「病いは気からというぜ。しっかりしてくれ」
林之助はお絹を抱き起すようにして薬を飲ませてやった。そうして、まだ若いからだだから、どんな病気でも養生次第で癒《なお》らないことはない。気を弱く持たないで、ゆっくりと療治をしてくれと、子供をすかすように言って聞かせると、お絹も素直に聞いていた。
しかし今度の病気ばかりは容易に癒りそうにも思われない。お前さんにほんとうの親切があるならば、屋敷から幾日かの暇を貰うか、それとも一生の暇を取るか、どっちにしても当分はからだをあけて、あたしの枕許へ来ていてくれ。その上でお前さんの看病がとどいて癒れば重畳《ちょうじょう》、万一これぎりに死んでも思い残すことはない。あたしはどうかしてお前さんをもう一度自分の手許へ引き戻そうと念じているうちに、とうとうこんな病気になってしまった。せめて死にぎわにはお前さんの手から一杯の水でも飲ませて貰いたいと、お絹はしみじみ言った。
「林さん。いやかい」
まぶたは押しつぶしたように落ち窪んでいても、餌《えさ》を狙うような蛇の眼が底の方に光っていた。今のやせ衰えたお絹の顔にはそれが一層ものすごく見え
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