。いかに大切の宝なりとも、人ひとりの命を一枚の皿に替へようとは思はぬ。皿が惜さにこの菊を成敗すると思うたら、それは大きな料簡《れうけん》ちがひぢや。菊。その皿をこれへ出せ。
お菊 はい。
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(時の鐘きこゆ。お菊は箱より恐る/\一枚の皿を出す。播磨はその皿を刀の鍔《つば》に打ちあてて割るに、お菊も權次もおどろく。)
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播磨 それ、一枚……。菊、あとを数へい。
お菊 二枚……。
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(お菊は皿を出す。播磨は又もや打割る。)
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播磨 それ、二枚……。次を出せ。
お菊 三枚……。
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(播磨はまた打割る。權次も思はずのび上る。)
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權次 おゝ、三枚……。
播磨 次を出せ。
お菊 四枚……。
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(播磨は又もや打割る。)
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播磨 四枚……。
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