の覚悟と申しますと……」と、お由は不安らしく訊いた。
「おれも侍の端《はし》くれだ。こうなったら仕方がない、一日も早くお北のありかを探し出して、手打ちにして……。その首を持って黒沼の家へ詫びに行かなければ……。さもないと家事不取締りの廉《かど》で、おれの身分にも拘わるからな」と、長八は溜め息まじりで云った。
比較的に武士気質《さむらいかたぎ》の薄い御賄組に籍を置いていても、瓜生長八、ともかくも大小をたばさむ以上、こういう場合にはやはり武士らしい覚悟を決めなければならなかった。
「それで、黒沼の家はどうなるでしょう」と、お由は又|訊《き》いた。
「今度こそは断絶だろうな」と、長八は再び溜め息をついた。「先月の時にも表向きにすればむずかしかったのだが、伝兵衛急病ということにして先ず繋ぎ留めたのだ。それは組頭も知っている。その矢さきへ又今度の一件だ。養子は家出する、家付きの娘は自害する。それではどうにも仕様があるまい」
「いっそ先月の時に、おとなりの家が潰れてしまったら、こんな事にもならなかったのでしょうに……」と、お由は愚痴らしく云った。
「今更そんなことを云っても仕方がない。なにしろ娘
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