所へ呼び出された。寺の住職祐道は寺社奉行の名によって同じく呼び出された。祐道は出頭したが、孫四郎はその前夜に急病頓死という届け出があった。表向きは急病と云うのであるが、その死の自殺であることは後に判った。
 お近という女の死骸も江戸川に浮きあがった。吉五郎の鑑定通り、寺内で殺された女はやはりこのお近であった。
 中間の鉄造が吉五郎の罠にかかって、自分の知っている限りの秘密を口走った結果、黒沼幸之助のかくれ家が露顕《ろけん》したので、吉五郎は子分の兼松と共に、早駕籠を飛ばせて向島の堤下へ駈け付けたことは、前に記《しる》した通りである。幸之助ももう観念したとみえて、これも自分の知っている限りの秘密をいっさい申し立てた。
 祐道もさすがは出家だけあって、この期《ご》に及んでは悪びれずにいっさいを自白した。その他のお近、お冬、お北らはみな死んでいるので、女の側の事情はよく判らない点もあったが、ともかくも幸之助、祐道らの口供《こうきょう》を綜合して判断を下だすと、この事件の真相はまずは斯《こ》う認めるのほかは無かった。
 お近は前名をお亀といって、むかしは深川に芸妓勤めをしていた女である。それが
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