られて来たんだろうが、さすがはお武家の女たちだな」
「ちっとも取り乱した様子を見せないぜ」
かれらのうしろ姿を見送って、人々はささやいていた。吉五郎は猶もそこにたたずんで、検視の来るのを待っていたが、役人は容易に来なかった。真昼の春の日を浴びて、人込みのなかに立っていて、彼は少し逆上《のぼ》せて来たので、あとへさがって河岸端《かしばた》の茶店へはいると、兼松もつづいて葭簀《よしず》のうちへはいって来た。
「死骸は瓜生さんの娘に相違ないそうですよ」と、彼は小声で云った。
「むむ。あの女たちの様子で判っている」と、吉五郎もうなずいた。「だが、おれの鑑定もまんざら外《はず》れたわけじゃあねえ。あの死骸は寺で殺されたんじゃあねえ。自身番の奴が莚をまくったときに、おれもそっと覗いてみたが、死骸の顔にも頸のまわりにも疵らしい痕はなんにも見えなかった。第一、人に殺されたような顔じゃあねえ」
「じゃあ、唯の身投げでしょうか」
「まずそうだろうな。寺で殺された女はほかにある筈だ」と、云いかけて吉五郎は葭簀の外を覗いた。「おい。兼、あすこで源蔵と立ち話をしている中間《ちゅうげん》は、どこの屋敷の奴だか、
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