屋敷に隠れているお近という女と、都合三人の女が引っからんでいるらしいので、どれだかはっきりとは判らねえが、まずこの三人のうちだろう。みんな殺されそうな女だからな」
「それにしても、まあ誰でしょう」
「執拗《しつこ》く訊くなよ。それを穿索するのがおめえ達の商売じゃあねえか」と、吉五郎は笑った。「だが、まあ、おれの鑑定じゃあお近という女だろうな。なにしろ自分が殺されそうになっても、ちっとも声を立てずに争っていたのを見ると、よっぽどのしっかり者に相違ねえ。お北というのはどんな女か知らねえが、いくら武家の娘でも斯ういう時にはなんとか声を立てる筈だ。お冬もしっかり者らしいが、なんと云っても小娘だ。大の男を相手にして、いつまでも激しく争っていられそうもねえ。そうすると、まずお近だろうな」
「なるほど、そういう理窟になりますね。それで、これからどうしましょう」
「佐藤の屋敷へ踏み込むか、祐道という坊主を締め上げるか、それが一番早手廻しだが、なにぶん一方は旗本屋敷、一方は寺社の係りだから、おれ達が迂闊《うかつ》に手を入れるわけにも行かねえので困る。まあ、気長に手繰《たぐ》って行くよりほかはあるめえ、第
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