な手妻《てづま》だろうと思っていた。ところが案の通り、ゆうべの蝶々には菅糸が付いていた。おめえも寺の庭で菅糸を拾った。万事が符合する以上は、もう間違いはあるめえ。蝶々の正体は大抵判ったと云うものだ」
「そうです、そうです」と、留吉は又うなずいた。「成程、親分の云う通り、お化けと烏凧で、手妻の種はすっかり判った。ところで、それを使う奴は……」
「お冬という奴だろう」
「なぜそんな事をするんでしょう。唯の悪戯《いたずら》でもあるめえが……」
「唯のいたずらじゃあねえに決まっている。それにはお冬を使って、何かの仕事を目論《もくろ》んでいる奴があるに相違ねえ。誰かがお冬の糸を引いて、お冬がまた蝶々の糸をひくと云うわけだから、順々に手繰《たぐ》って行かなけりゃあ本家本元は判らねえ。それにしても、ここまで漕ぎ付けりゃあ大抵の山は見えているよ」と、吉五郎は笑っていた。
「そうすると、お冬はゆうべ又あの寺へ舞い戻って来たんでしょうか」と、留吉はまた訊いた。
「そうのようにも思われる。そうでねえようにも思われる。おれもそれを考えているんだが……」
「でも、その菅糸が落ちていたんですよ」
「この一件はお冬
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