と取り計らいますから、御安心ください。もうおいおいに夜が更《ふ》けます。今晩はこれでお別れ申しましょう」
行きかけて、吉五郎はまた立ち戻った。
「唯今も申した通りですから、あなた方は決して蝶々の一件におかかわり合いなさるな。悪くすると、あなた方のおからだに何かの間違いが無いとも限りませんから……」
嚇《おど》すように云い聞かせて立ち去るうしろ姿を、長三郎は無言で見送っていた。
吉五郎が最後の一言はあながちに嚇しばかりでは無い、現に黒沼伝兵衛は目白の寺門前で怪しい横死《おうし》を遂げたのである。それを思うと、長三郎も今更のように一種の不安を感じて、どこにどんな奴が自分を付け狙っているかも知れないと、俄かに警戒するような心持にもなった。そうして、風の音にも油断なく耳と眼とを働かせながら、暗い夜道を提灯に照らして帰る途中、彼はいろいろに考えた。
今夜のことはすべて謎である。お冬の云うことも、吉五郎の云うことも、半分は判っているようで半分は判らない。お冬は自分をどこへ誘って行くつもりであったのか、吉五郎はなにを見付けたのか、長三郎にはよく判らないのである。彼は怪しい娘と岡っ引とに焦《じ
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