分であるので、家付きの地所家作なぞはまだ自分の物になっていない。お米を自分の店へ引っ張り込むなぞということは、とてもお半の承知する筈がない。かたがたお半を亡き者にしてしまわなければ、何事も自分の自由にはならない。以前の信次郎ならば、まさかそんな料簡も起こさなかったでしょうが、かの音造の一件からお半に対して強い嫉妬を感じている。そこへ付け込んで、清五郎がうまく焚き付けたので、とうとう叔母殺しという大罪を犯すことになったんです。年が若いとは云いながら、人間の迷いは恐ろしいものです。
そこで、どうしてお半を片付けようかと狙っていると、かの浅草の観世物の評判が高い。そこへ引っ張り込んで殺すという計略、それは清五郎が知恵を授けたんです。当日お半と約束して、信次郎は花川戸の同商売の家へ行くと云い、お半は観音へ参詣すると云い、途中で落ち合って一緒に浅草へ出かけました。二人の出逢い場所はふだんから決まっているので、浅草辺の小料理屋の二階で午過ぎまで遊び暮らして、それから仁王門前の観世物小屋へ見物に行く。幽霊の観世物なぞは忌だとお半が云うのを、信次郎が無理に誘って連れ込んだ。しかし二人が一緒にはいって
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