半七捕物帳
唐人飴
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)鉦《かね》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)青山百人|町《まち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「米+參」、第3水準1−89−88]粉《しんこ》細工
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一
こんにちでも全く跡を絶ったというのではないが、東京市中に飴売りのすがたを見ることが少なくなった。明治時代までは鉦《かね》をたたいて売りに来る飴売りがすこぶる多く、そこらの辻に屋台の荷をおろして、子どもを相手にいろいろの飴細工を売る。この飴細工と※[#「米+參」、第3水準1−89−88]粉《しんこ》細工とが江戸時代の形見といったような大道《だいどう》商人《あきんど》であったが、キャラメルやドロップをしゃぶる現代の子ども達からだんだんに見捨てられて、東京市のまん中からは昔の姿を消して行くらしく、場末の町などで折りおりに見かける飴売りにも若い人は殆ど無い。おおかたは水洟《みずっぱな》をすすって
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