のが運の尽きでした。お節も勿論、嫁入り先から引き挙げられる筈でしたが、捕り手が向うと、すぐに覚ったと見えて、裏口の古井戸へ飛び込んでしまいました。今度は替玉でなく、確かに本人の身投げでした。よくよく水に縁のある女で、これも何かの因縁でしょう。
 小左衛門の申し立てによると、お節を鍋久へ縁付けて毎月相当の仕送りを受け、自分はそれで満足している積りであったが、それでは第一に花鳥が承知しない。本人のお節も承知しない。それに引き摺られて、だんだんに悪事を重ねるようになったのだと云っていたそうですが、果たしてどんなものでしょうか」



底本:「時代推理小説 半七捕物帳(四)」光文社文庫、光文社
   1986(昭和61)年8月20日初版1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:しず
2000年1月17日公開
2004年3月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボ
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