く、その蝋燭があんまり重いので、夫婦が不思議がって眺めているうちに、どっちの粗相だか土間に落として、そこにある石にかちりとあたると、蝋は砕けて芯が出た。それが金色に光ったので、夫婦は又おどろきました。それが即ち金の蝋燭の由来……」
「その旅の男というのは何者ですか」
「まあ、お待ちなさい。まだお話がある。その蝋燭を見て、夫婦は考えたんです。中間ふうの旅の男がこんな物を持っている筈がない。殊に病い挙げ句のからだで、今ごろから怱々《そうそう》に出て行ったのは、なにかうしろ暗い身の上であるに相違ない。亭主の宗兵衛は急に思案して、こんな物を貰って何かの係り合いになっては大変だから追っかけて行って返して来ると、その蝋燭を風呂敷につつんで、男のあとを追って出たが、それっきり暫く帰って来ない。そのうちに日が暮れて暗くなる。どうしたのかと女房が案じていると、亭主は風呂敷包みを重そうに抱えて帰って来た……。と云ったら大抵お察しも付くでしょうが、一本の蝋燭が六本になっていたんです。本当に返す積りであったのか、それとも他に思惑《おもわく》があったのか、その辺はよく判りませんが、なにしろ追っかけて行ってみると
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