るばかりで、二代目三代目と続いて来た。ところが、今度の主人夫婦になってから子供が出来ねえ。主人はもう三十を越したもんだから、早く貰い子でもせざあなるめえというので、八王子にいる遠縁のものからお安という娘を貰って、まあ可愛がって育てていたんだ。すると、そのお安が十歳《とお》になった時に、今まで子種がねえと諦めていたおかみさんの腹が大きくなって、女の子が生まれた。それがお清という娘で、貰《もら》い娘《こ》のお安と姉妹《きょうだい》のように育てていたが、そうなると人情で生みの子が可愛い、貰い娘が邪魔になる。といって、世間の手前もあり、貰い娘の親たちへの義理もあり、かたがたどうすることも出来ないので、ゆくゆくはお清に家督を嗣《つ》がせ、貰い娘の方には婿を取って分家させるというようなことを云っていたんだが、そうなると今度は又金が惜しい。分家させるには相当の金が要《い》る。こんなことから貰い娘をだんだん邪魔にし始めて……。といっても、世間の眼に立つようなことはしない。うわべは生みの娘と同じように育てているうちに、二番目の娘がまた生まれた。それが今のお雪さんだ。そうして実子が二人まで出来てみると、貰
前へ
次へ
全72ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング