の三人のうちに、何か係り合いがあるに相違ねえ。正直にいえばよし、さもなければお前を引き摺って行って、役人衆に引き渡すからそう思え。そうなったら、おめえばかりじゃねえ、ほかにも迷惑する人が出来るかも知れねえぜ。おめえが素直に白状してくれれば、おれが受け合って誰にも迷惑をかけねえようにしてやる。まだ判らねえか。おれは江戸の御用聞きで、今夜丁度ここへ泊りあわせたんだ。決して悪いようにしねえから何もかも云ってくれ」
半七の素姓を聞かされて、若い女中はいよいよおびえたらしく見えたが、いろいろ嚇《おど》されて、賺《すか》されて、彼女はとうとう正直に白状した。かれはお関という女で、おとどしからここに奉公している者であった。ゆうべこの座敷で山祝いの酒が出たときに、お関はその給仕に出て皆の酌をしたが、供の二人にくらべると、さすがに主人の若い武家は水際《みずぎわ》立って立派に見えたので、こっちも年の若いお関の眼は兎角にその人の方にばかり動いた。供の二人はそれを早くも見つけて、いろいろにお関をなぶった。そうして、おれ達にたのめばきっと旦那に取り持ってやるなどと云った。
その冗談がほんとうになって七蔵が便
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