半七捕物帳
朝顔屋敷
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)家《うち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳原|堤《どて》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「ころもへん+上」、第4水準2−88−9]※[#「ころもへん+下」、第4水準2−88−10]
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一
「安政三年……十一月の十六日と覚えています。朝の七ツ(午前四時)頃に神田の柳原|堤《どて》の近所に火事がありましてね。なに、四、五軒焼けで済んだのですが、その辺に知っている家《うち》があったもんですから、薄っ暗いうちに見舞に行って、ちっとばかりおしゃべりをして家へ帰って、あさ湯へ飛び込んで、それからあさ飯を食っていると、もうかれこれ五ツ(午前八時)近くになりましたろう。そこへ八丁堀の槇原という旦那(同心)から使が来て、わたくしにすぐ来いと云うんです。朝っぱらから何だろうと思って、すぐに支度をして出て行きました」
半七老人は表情に富んでいる眼眦《めじり
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