稿したものではなく、最初に『※[#「さんずい+欒」、第3水準1−87−35]陽鎖夏録《らんようしょうかろく》』六巻を編み、次に『如是我聞《にょぜがもん》』四巻、次に『槐西雑誌《かいせいざっし》』四巻、次に『姑妄聴之《こもうちょうし》』四巻、次に『※[#「さんずい+欒」、第3水準1−87−35]陽続録《らんようぞくろく》』六巻を編み、あわせて二十四巻に及んだものを集成して、『閲微草堂筆記』の名を冠《かぶ》らせたのでありまして、実に一千二百八十二種の奇事異聞を蒐録《しゅうろく》してあるのですから、とても一朝一|夕《せき》に説き尽くされるわけのものではありません。もしその全貌を知ろうとおぼしめす方は、どうぞ原本に就いてゆるゆる御閲読をねがいます」
落雷裁判
清《しん》の雍正《ようせい》十年六月の夜に大雷雨がおこって、献《けん》県の県城の西にある某村では、村民なにがしが落雷に撃たれて死んだ。
明《めい》という県令が出張して、その死体を検視したが、それから半月の後、突然ある者を捕えて訊問した。
「おまえは何のために火薬を買ったのだ」
「鳥を捕るためでございます」
「雀ぐらいを撃つ弾
前へ
次へ
全29ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング