中国怪奇小説集
剪燈新話
岡本綺堂

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)名代《みょうだい》に

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)妖怪|変化《へんげ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「鹿/章」、第3水準1−94−75]《くじか》
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 第十二の夫人は語る。
「今晩は主人が出ましてお話をいたす筈でございましたが、よんどころない用事が出来まして、残念ながら俄かに欠席いたすことになりました。就きましては、お前が名代《みょうだい》に出て何かのお話を申し上げろということでございましたが、無学のわたくしが皆さま方の前へ出て何も申し上げるようなことはございません。唯ほんの申し訳ばかりに、どなたも御存じの『剪燈新話』のお話を少々申し上げて御免を蒙ります。
 わたくしどもにはよく判《わか》りませんが、支那の小説は大体に於いて、唐《とう》と清《しん》とが一番よろしく、次が宋《そう》で、明《みん》朝の作は余り面白くないのだとか申すことでございます
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