が杭州にある時、いろいろの生き物を使うのを見た。
七匹の亀を飼っている者がある。その大小は一等より七等に至る。かれらを几《つくえ》の上に置いて、合図の太鼓を打つと、第一の大きい亀が這い出して来て、まんなかに身を伏せる。次に第二の亀が這い出して、その背に登る。それから順々に這い登って、第七の最も小さい亀は第六の甲の上に逆立ちをする。全体の形はさながら小さい塔の如く、これを烏亀畳塔《うきじょうとう》と名づける。
また、蝦蟆《がま》九匹を養っている者がある。席ちゅうに土をうずたかく盛りあげて、最も大きい蝦蟆がその上に坐っていると、他の小さい蝦蟆が左右に四匹ずつ向い合って列ぶ。やがて大きいのがひと声鳴くと、他の八匹もひと声鳴く。大きいのが幾たびか鳴けば、他も幾たびか鳴く。最後に八匹が順々に進み出て、大きいのにむかって頭を下げてひと声、さながら礼をなすが如くにして退く。これを名づけて蝦蟆説法《がませっぽう》という。
松江《しょうこう》へ行って、道士の太古庵《たいこあん》に仮寓《かぐう》していた。その時に見たのは、鰍《かじか》を切るの術である。一尾は黒く、一尾は黄いろい鰍を取って、磨ぎすまし
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