中国怪奇小説集
夷堅志
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)宋《そう》で
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)数十|荷《か》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)洪※[#「しんにゅう+舌」、第4水準2−89−87]《こうかつ》
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第八の男は語る。
「わたくしは宋《そう》で『夷堅志』をえらみました。これは有名の大物でありますから、とても全部のお話は出来ません。そのなかで自分が面白く読んだものの幾分を御紹介するにとどめて置きます。この作者は宋の洪邁《こうまい》であります。この家は、父の洪皓《こうこう》をはじめとして、せがれの洪※[#「しんにゅう+舌」、第4水準2−89−87]《こうかつ》、洪遵《こうしゅん》、洪邁の一家兄弟、揃いも揃って名臣であり、忠臣であり、学者であること、実に一種の異彩を放っていると申してもよろしいくらいでありまして、宋朝が金《きん》に圧迫せられて南渡の悲運におちいるという国家多難の際にあって、皆それぞれに
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