中国怪奇小説集
稽神録
岡本綺堂

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)宋《そう》に

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二十|杖《じょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)李※[#「日+方」、第3水準1−85−13]《りぼう》
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 第七の女は語る。
「五代を過ぎて宋《そう》に入りますと、まず第一に『太平広記』五百巻という大物がございます。但しこれは宋の太宗《たいそう》の命によって、一種の政府事業として李※[#「日+方」、第3水準1−85−13]《りぼう》らが監修のもとに作られたもので、汎《ひろ》く古今の小説伝奇類を蒐集したのでありますから、これを創作と認めるわけには参りません。そこで、わたくしは自分の担任として『稽神録』について少々お話をいたしたいと存じます。『稽神録』の作者は徐鉉《じょげん》であります。徐鉉は五代の当時、南唐に仕えて金陵《きんりょう》に居りましたが、南唐が宋に併合されると共に、彼も宋朝に仕うる人となって、かの『太
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