世界怪談名作集
ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
ホーソーン Nathaniel Hawthorne
岡本綺堂訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)遙《はる》ばると
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)実際|畏《おそ》るべき人
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)降伏[#「伏」は底本では「状」]し、
−−
一
遠い以前のことである。ジョヴァンニ・グァスコンティという一人の青年が、パドゥアの大学で学問の研究をつづけようとして、イタリーのずっと南部の地方から遙《はる》ばると出て来た。
財嚢のはなはだ乏しいジョヴァンニは、ある古い屋敷の上の方の陰気な部屋に下宿を取ることにした。これはあるパドゥアの貴族の邸宅ででもあったらしく、その入り口の上には今はすっかり古ぼけてしまったある一家の紋章が表われているのが見られた。自国イタリーの有名な偉大な詩を知っていた旅の青年は、この屋敷の家族の祖先の一人、おそらくその所有者たる人は、
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