我楽多玩具
岡本綺堂

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)玩具《おもちゃ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一山|百文《ひゃくもん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ずらり[#「ずらり」に傍点]
−−

 私は玩具《おもちゃ》が好《すき》です、幾歳《いくつ》になっても稚気《ちき》を脱しない故《せい》かも知れませんが、今でも玩具屋の前を真直《まっすぐ》には通り切れません、ともかくも立停って一目《ひとめ》ずらり[#「ずらり」に傍点]と見渡さなければ気が済まない位です。しかしかの清水晴風さんなどのように、秩序的にそれを研究しようなどと思ったことは一度もありません。ただぼんやり[#「ぼんやり」に傍点]と眺めていればいいんです。玩具に向う時はいつもの小児《こども》の心です。むずかしい理窟なぞを考えたくありません。随って歴史的の古い玩具や、色々の新案を加えた贅《ぜい》な玩具などは、私としてはさのみ懐しいものではありません。何処《どこ》の店の隅にも転がっているような一山|百文《ひゃくもん》式の我楽多玩具、それが私には甚《ひ
次へ
全6ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング