たりさな。」
「それから、それからどうだい。」
「家もぶっこわさな。」
「それから。それから、あとはどうだい。」
「あかしも消さな。」
「それからあとは? それからあとは? どうだい。」
「シャップもとばさな。」
「それから? それからあとは? あとはどうだい。」
「笠《かさ》もとばさな。」
「それからそれから。」
「それがら、ラ、ラ、電信ばしらも倒さな。」
「それから? それから? それから?」
「それがら屋根もとばさな。」
「アアハハハ、屋根は家のうちだい。どうだいまだあるかい。それから、それから?」
「それだがら、ララ、それだからランプも消さな。」
「アアハハハハ、ランプはあかしのうちだい。けれどそれだけかい。え、おい。それから? それからそれから。」
 耕助はつまってしまいました。たいていもう言ってしまったのですから、いくら考えてももうできませんでした。
 三郎はいよいよおもしろそうに指を一本立てながら、
「それから? それから? ええ? それから?」と言うのでした。
 耕助は顔を赤くしてしばらく考えてからやっと答えました。
「風車もぶっこわさな。」
 すると三郎はこんどこそは
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