注文の多い料理店
宮沢賢治
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)紳士《しんし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二|疋《ひき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ、横書き、中央揃え、罫囲み]
−−
二人の若い紳士《しんし》が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲《てっぽう》をかついで、白熊《しろくま》のような犬を二|疋《ひき》つれて、だいぶ山奥《やまおく》の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云《い》いながら、あるいておりました。
「ぜんたい、ここらの山は怪《け》しからんね。鳥も獣《けもの》も一疋も居やがらん。なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」
「鹿《しか》の黄いろな横っ腹なんぞに、二三発お見舞《みまい》もうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっと倒《たお》れるだろうねえ。」
それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鉄砲打ちも、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
それに
次へ
全14ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング