あなた方はどうしたのですか。悪いことをなさって天から落とされたお方ではないように思われますが。」
鯨が横から口を出しました。
「こいつらは追放の書き付けも持ってませんよ。」
海蛇が凄《すご》い目をして鯨をにらみつけて云いました。
「黙《だま》っておいで。生意気な。このお方がたをこいつらなんてお前がどうして云えるんだ。お前には善《よ》い事をしていた人の頭の上の後光が見えないのだ。悪い事をしたものなら頭の上に黒い影法師《かげぼうし》が口をあいているからすぐわかる。お星さま方。こちらへお出《い》で下さい。王の所へご案内申しあげましょう。おい、ひとで。あかりをともせ。こら、くじら。あんまり暴れてはいかんぞ。」
くじらが頭をかいて平伏《へいふく》しました。
愕ろいた事には赤い光のひとでが幅《はば》のひろい二列にぞろっとならんで丁度街道のあかりのようです。
「さあ、参りましょう。」海蛇は白髪《はくはつ》を振《ふ》って恭々《うやうや》しく申しました。二人はそれに続いてひとでの間を通りました。まもなく蒼《あお》ぐろい水あかりの中に大きな白い城の門があってその扉《と》がひとりでに開いて中から沢山
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