う。」
農民二「はあ、そうでごあんす、そうでごあんす。」
爾薩待「そうでしょう、またこれは病気でもない。ぼく考えるに、どうです、これ位ぐらいのこんな虫が根についちゃいませんか。」
農民二「はあ、おりあんす、おりあんす。」
爾薩待「なるほど、そうでしょう。そいつがいかんのです。」
農民二「なじょにすたらいがべす。」
爾薩待「それはね、亜砒酸《あひさん》という薬をかけるんです。」
農民二「どごで売ってべす。」
爾薩待「いや、勿論私のところにあるのですがね、いまちょっと切れていますから、証明書を書いて上げます。(書く)これをもって町の薬屋から買っておいでなさい。硫安と同じ位に薄めて使うんです。」
農民二「はあ、こいづ持ってて薬買って薄めで掛けるのだなす。」
爾薩待「そうです。」
農民二「なんぼお礼上げだらいがべす。」
爾薩待「診察料は一円です。それから証明書代が五十銭です。」
農民二「一円五十銭だなす。(金を出す)さあ、どうもおありがどごあんすた。」
爾薩待「いや、ありがとう。さよなら。」
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農民二 退場

農民三 登場
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