う
それから黒いとりかぶとなど、
とにかく悪くやることですな
さうして置いて、
世界中から集った
猾るいやつらや悪どいやつの
頭をみんな剃ってやり
あちこち石で門を組む
死出の山路のほととぎす
三途の川のかちわたし
六道の辻
えんまの庁から胎内くぐり
はだしでぐるぐるひっぱりまはし
それで罪障消滅として
天国行きのにせ免状を売りつける
しまひはそこの三つ森山で
交響楽をやりますな
第一楽章 アレグロブリオははねるがごとく
第二楽章 アンダンテ やゝうなるがごとく
第三楽章 なげくがごとく
第四楽章 死の気持ち
よくあるとほりはじめは大へんかなしくて
それからだんだん歓喜になって
最後は山のこっちの方へ
野砲を二門かくして置いて
電気でずどんと実弾をやる
Aワンだなと思ったときは
もうほんものの三途の川へ行ってるですな
ところがこゝで予習をつんでゐますから
誰もすこしもまごつかない またわたくしもまごつかない
さあパンをおあがりなさい
向ふの山は七時雨
陶器に描いた藍の絵で
あいつがつまり背景ですな
[#改ページ]
三四〇
[#地付き]一九二五、五、二五、
あちこちあをじろく接骨
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