(寅松どうも何ですよ
ひとみ黄いろのくはしめなんて
ぼくらが毎日云ったので
刺戟を受けたらしいんです)
(そいつはちょっとどうだらう)
(もっともゲルベアウゲの方も
いっぺん身売りにきまったとこを
やっとああしてゐるさうですが)
(あんまり馬が廉いもなあ)
(ばあさんもゆふべきのこを焼いて
ぼくにはいろいろ口説いたですよ
何ぼ何食って育《おが》ったからって
あんまりむごいはなしだなんて)
(でも寅松へ嫁るんだらう)
(さあ寅松へどうですか
野馬をわざと畑へ入れて
放牧主へ文句をつけたことなどを
ばあさん云ってゐましたからね)
(それでは嫁る気もないんだな)
(キャベヂの湯煮にも飽きましたなあ)
(都にこそは待ちたまふらん)
(それはそっちのことでせう
ご機嫌いかゞとあったでせう)
(安息す鈴蘭の蓐だ)
(さあれその蓐古びて黄なりです)
(山嶺既に※[#「りっしんべん+豈」、第3水準1−84−59]々)
(天蓋朱黄燃ゆるは如何)
(爪哇の僭王胡瓜を啖ふ)
(誰か王位を微風に承けん)
(アダヂオは弦にはじまる)
(柏影霜葉喃語を棄てず)
(冠毛燈! ドラモンド光!)
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