いちめん赤い痘瘡がある
掌のなかばから切られた指
これはやっぱりこの塚のだらうか
わたくしのではない
柳沢さんのでなくてまづ好がった
袴をはいた烏天狗だ
や、西行、
上……見……る……に……は……及……ば……な……い……
や……っ……ぱ……り……下……見……る……の……だ
呟くやうな水のこぼこぼ鳴るやうな
私の考と阿部孝の考とを
ちゃうど神楽の剣舞のやうに
対称的に双方から合せて
そのかっぽれ 学校へ来んかなと云ったのだ
こどもが二人母にだかれてねむってゐる
いぢめてやりたい
いぢめてやりたい
いぢめてやりたい
誰かが泣いて云ひながら行きすぎる
[#改ページ]
一九六
[#地付き]九、一〇、
かぜがくれば
ひとはダイナモになり
……白い上着がぶりぶりふるふ……
木はみな青いラムプをつるし
雲は尾をひいてはせちがひ
山はひとつのカメレオンで
藍青やかなしみや
いろいろの色素粒が
そこにせはしく出没する
[#改ページ]
三〇一 秋と負債
[#地付き]一九二四、九、一六、
半穹二グロスからの電燈が
おもひおもひ
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