びとのおもかげや声
ありとあるしじまとうごき
なべてよりいざ立ちかへり
散乱のわが心相よ
あつまりてしづにやすらへ
あしたこそ燃ゆべきものを
[#改ページ]
〔そのうす青き玻璃の器に〕
そのうす青き玻璃の器に
しづにひかりて澱めるは
まことや菩薩わがために
血もてつぐなひあがなひし
水とよばるゝそれにこそ
[#改ページ]
名声
なべてのまこといつはりを
たゞそのまゝにしろしめす
正※[#「彳+扁」、第3水準1−84−34]知をぞ恐るべく
人に知らるゝことな求めそ
また名を得んに十万の
諸仏のくにに充ちみてる
天と菩薩をおもふべく
黒き活字をうちねがはざれ
[#改ページ]
〔春来るともなほわれの〕
春来るともなほわれの
えこそは起たぬけはひなり
さればかしこの崖下の
高井水車の前あたり
矢ばねのさまに鳥とびて
くるみの列の足なみを
雪融の水の来るところ
乾田の盤のまなかより
青きすゞめのてっぱうと
稲の根赤く錆びにたる
湯気たつ土の一かけを
とり来てわれに示さずや
[#改ページ]
〔今宵南の風吹けば〕
今宵南の風吹けば
みぞれとなりて窓うてる
その
前へ
次へ
全12ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング