は 結構《けっこう》だが
となりにいからだ ふんながす
青じろ番兵《ばんぺ》は 気にかがる。
青じろ番兵《ばんぺ》は ふんにゃふにゃ
吠《ほ》えるもさないば 泣ぐもさない
瘠《や》せで長くて ぶぢぶぢで
どごが口《くぢ》だが あだまだが
ひでりあがりの なめぐじら。」
走りながら廻りながら踊《おど》りながら、鹿《しか》はたびたび風のように進んで、手拭を角でついたり足でふんだりしました。嘉十《かじゅう》の手拭はかあいそうに泥がついてところどころ穴さえあきました。
そこで鹿のめぐりはだんだんゆるやかになりました。
「おう、こんだ団子お食《く》ばがりだじょ。」
「おう、煮《に》だ団子だじょ。」
「おう、まん円《まる》けじょ。」
「おう、はんぐはぐ。」
「おう、すっこんすっこ。」
「おう、けっこ。」
鹿はそれからみんなばらばらになって、四方から栃のだんごを囲んで集まりました。
そしていちばんはじめに手拭に進んだ鹿から、一口ずつ団子をたべました。六|疋《ぴき》めの鹿は、やっと豆粒《まめつぶ》のくらいをたべただけです。
鹿はそれからまた環《わ》になっ
前へ
次へ
全15ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング