月夜のでんしんばしらの軍歌
宮澤賢治

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)うで木《ぎ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二|本《ほん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)詩5[#「5」はローマ数字、1−13−25]
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ドツテテドツテテ、ドツテテド、
でんしんばしらのぐんたいは
はやさせかいにたぐひなし
ドツテテドツテテ、ドツテテド
でんしんばしらのぐんたいは
きりつせかいにならびなし。

ドツテテドツテテ、ドツテテド
二|本《ほん》うで木《ぎ》の工兵隊《こうへいたい》
六|本《ぽん》うで木《ぎ》の竜騎兵《りうきへい》
ドツテテドツテテ、ドツテテド
いちれつ一|万《まん》五|千人《せんにん》
はりがねかたくむすびたり

ドツテテドツテテ、ドツテテド
やりをかざれるとたん帽《ばう》
すねははしらのごとくなり。
ドツテテドツテテ、ドツテテド
肩《かた》にかけたるエボレツト
重《おも》きつとめをしめすなり。

ドツテテドツテテ、ドツテテド、
寒《さむ》さはだへをつんざくも
などて腕木《うでぎ》をおろすべき
ドツテテドツテテ、ドツテテド
暑《あつ》さ硫黄《いわう》をとかすとも
いかでおとさんエボレツト。

ドツテテドツテテ、ドツテテド、
右《みぎ》とひだりのサアベルは
たぐひもあらぬ細身《ほそみ》なり。

ドツテテドツテテ、ドツテテド、
タールを塗《ぬ》れるなが靴《くつ》の
歩《ほ》はばは三|百《びやく》六|十尺《じうしやく》。

ドツテテドツテテ、ドツテテド
でんしんばしらのぐんたいの
その名《な》せかいにとゞろけり。



底本:「【新】校本宮澤賢治全集 第六巻 詩5[#「5」はローマ数字、1−13−25] 本文篇」筑摩書房
   1996(平成8)年5月30日初版第1刷発行
入力:田中敬三
校正:土屋隆
2006年7月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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終わり
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