だそれ位じゃ腹が癒《い》えないよ。結婚式がすんだらあいつらを引っぱり出して、あの畑の麦をほした杭《くい》の穴に落してやりたいね。上に何か木の葉でもかぶせて置こう。それは僕がやって置くよ。面白《おもしろ》いよ。」
「それもいいね。じゃ、雨がはれたらね。」
「うん。」
「ではさよならね。」
 蛙《かえる》の挨拶《あいさつ》の「さよならね」ももう鼻について厭《あ》きて参りました。もう少しです。我慢して下さい。ほんのもう少しですから。

        *

 次の日のひるすぎ、雨がはれて陽《ひ》が射《さ》しました。ベン蛙とブン蛙とが一緒《いっしょ》にカン蛙のうちへやって来ました。
「やあ、今日はおめでとう。お招き通りやって来たよ。」
「うん、ありがとう。」
「ところで式まで大分時間があるだろう。少し歩こうか。散歩すると血色がよくなるぜ。」
「そうだ。では行こう。」
「三人で手をつないでこうね。」ブン蛙とベン蛙とが両方からカン蛙の手を取りました。
「どうも雨あがりの空気は、実にうまいね。」
「うん。さっぱりして気持ちがいいね。」三|疋《びき》は萱の刈跡にやって参りました。
「ああいい景色だ。こ
前へ 次へ
全18ページ中11ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング