んと光って飛んだ。
「一体何をしらべて来いと云ふんだったらう。」私はふとたよりないこゝろもちになってかう云った。
「種子をまちがへたんでせう。それをしらべて来いと云ふんでせう。」
「いや収量がどれだけだったかといふのらしかったぜ。」私は又云った。
向ふにベつの畑が光って見えた。そこにも花椰菜《はなやさい》がならんでゐた。これから本国へたづねてやるのも返事の来るまで容易でない、それにまだ二百里だ、と私は考へて又たよりないやうな気がした。
白崎特務曹長は先に立ってぐんぐん歩いた。
底本:「新修宮沢賢治全集 第十四巻」筑摩書房
1980(昭和55)年5月15日初版第1刷発行
1983(昭和58)年1月20日初版第4刷発行
入力:林 幸雄
校正:mayu
2003年1月10日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全5ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング