致《いた》します。」と云いながら急いで玄関を出ました。それから走り出しました。
 狐の生徒たちが、わあわあ叫《さけ》び、先生たちのそれをとめる太い声がはっきり後ろで聞えました。私は走って走って、茨海《ばらうみ》の野原のいつも行くあたりまで出ました。それからやっと落ち着いて、ゆっくり歩いてうちへ帰ったのです。
 で結局のところ、茨海狐小学校では、一体どういう教育方針だか、一向さっぱりわかりません。
 正直のところわからないのです。



底本:「注文の多い料理店」新潮文庫、新潮社
   1990(平成2)年5月25日発行
   1997(平成9)年5月10日17刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集 第九巻」筑摩書房
   1979(昭和54)年7月
入力:土屋隆
校正:noriko saito
2006年11月26日作成
2009年7月24日修正
青空文庫作成ファイル:
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