ことは明かであります。さればといって甚《はなはだ》不良なのではなく、ただ動物質の食品に比して幾分《いくぶん》劣るというのであります。全然植物性蛋白や脂肪を消化しないという人はまあありますまい、あるとすればその人は又動物性の蛋白や脂肪も消化しないのです。さてどう云うわけで植物性のものが消化がよくないかと云えば蛋白質の方はどうもやっぱりその蛋白質分子の構造によるようでありますが脂肪の消化率の少いのはそれが多く繊維素《せんいそ》の細胞壁《さいぼうへき》に包まれている関係のようであります。どちらも次第《しだい》に菜食になれて参りますと消化もだんだん良くなるのであります。色々実験の成績もございますから後でご覧を願います。又病弱者老衰者嬰児等の中には全く菜食ではいけない人もありましょう、私どもの派ではそれらに対してまで菜食を強《し》いようと致《いた》すのではありません。ただなるべく動物|互《たがい》に相喰《あいは》むのは決して当然のことでない何とかしてそうでなくしたいという位の意味であります。尤も老人病弱者にても若《も》し肉食を嫌《きら》うものがあればこれに適するような消化のいい食品をつくる事に就
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