られたり、たたかれたりするからだ、その証拠《しょうこ》には、殺すつもりでなしに、何か鶏卵《けいらん》の三十も少し遠くの方でご馳走《ちそう》をするつもりで、豚の足に縄《なわ》をつけて、ひっぱって見るがいいやっぱり豚はキーキー云う。こんな訳だから、ほんとうに豚を可哀そうと思うなら、そうっと怒《おこ》らせないように、うまいものをたべさせて置いて、にわかに熱湯にでもたたき込んでしまうがいい、豚は大悦びだ、くるっと毛まで剥《む》けてしまう。われわれの組合では、この方法によって、沢山《たくさん》の豚を悦ばせている。ビジテリアンたちは、それを知らない。自分が死ぬのがいやだから、ほかの動物もみんなそうだろうと思うのだ。あんまり子供らしい考である。」
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私は無理に笑おうと思いましたが何だか笑えませんでした。地学博士も黄いろなパンフレットを読んでしまって少し変な顔をしていました。私たちは目を見合せました。それからだまってお互《たがい》のパンフレットをとりかえました。黄色なパンフレットには斯う書いてあったのです。
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「◎偏狭非学術的なビジテリアンを排せ。
ビジ
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