ぜ、が、しかしさ、こんなことにはてめえのような変《へん》ちきりんはあんまりいろいろ手を出さない方が結局《けっきょく》てめえのためだろうぜ」
「なんだと。おれはシグナルの後見人《こうけんにん》だぞ。鉄道長の甥《おい》だぞ」
「そうか。おい立派《りっぱ》なもんだなあ。シグナルさまの後見人で鉄道長の甥かい。けれどもそんならおれなんてどうだい。おれさまはな、ええ、めくらとんびの後見人、ええ風引きの脈《みゃく》の甥だぞ。どうだ、どっちが偉《えら》い」
「何をっ、コリッ、コリコリッ、カリッ」
「まあまあそう怒《おこ》るなよ。これは冗談《じょうだん》さ。悪く思わんでくれ。な、あの二人さ、かあいそうだよ。いいかげんにまとめてやれよ。大人《おとな》らしくもないじゃないか。あんまり胸《むね》の狭《せま》いことは言わんでさ。あんな立派《りっぱ》な後見人《こうけんにん》を持って、シグナルもほんとうにしあわせだと言われるぜ。まとめてやれ、まとめてやれ」
 本線《ほんせん》シグナルつきの電信柱《でんしんばしら》は、物《もの》を言おうとしたのでしたが、もうあんまり気が立ってしまってパチパチパチパチ鳴《な》るだけでし
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