たいてやったり、夜だって寝るのはいつもおそいでしょう。たいてい三時ごろでしょう。ほんとうにからだがやすまるってないんでしょう。感心ですねえ。」
「ほんとうにあんな心がけのいい子は今ごろあり……。」
「エヘン、エヘン。」と、いきなりクねずみはどなって、おひげを横の方へひっぱりました。
むかではびっくりして、はなしもなにもそこそこに別れて逃げて行ってしまいました。
クねずみはそれからだんだん天井裏街の方へのぼって行きました。天井裏街のガランとした広い通りでは、ねずみ会議員のテねずみがもう一ぴきのねずみとはなしていました。
クねずみはこわれたちり取りのかげで立ちぎきをしておりました。
テねずみが、
「それで、その、わたしの考えではね、どうしてもこれは、その、共同一致、団結、和睦《わぼく》の、セイシンで、やらんと、いかんね。」と言いました。
クねずみは、
「エヘン、エヘン。」と聞こえないようにせきばらいをしました。相手のねずみは、「へい。」と言って考えているようです。
テねずみははなしをつづけました。
「もしそうでないとすると、つまりその、世界のシンポハッタツ、カイゼンカイリョウが
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