このせきの去年のちいさな丸太の橋《はし》は、雪代水《ゆきしろみず》で流《なが》れたな、からだだけならすぐ跳《と》べるんだが肥桶《こえおけ》をどうしような。阿部君、まず跳び越《こ》えてください。うまい、少しぐちゃっと苔《こけ》にはいったけれども、まあいいねえ、それではぼくはいまこっちで桶をつるすから、そっちでとってくれ給《たま》え。そら、重《おも》い、ぼくは起重機《きじゅうき》の一種《いっしゅ》だよ。重い、ほう、天びん棒《ぼう》がひとりでに、磁石《じしゃく》のように君《きみ》の手へ吸《す》い着《つ》いて行った。太陽《たいよう》マジックなんだほんとうに。うまい。
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(※[#ト音記号、55−9]‥‥‥
※[#ト音記号、55−10]‥‥‥ )
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楊《やなぎ》の木でも樺《かば》の木でも、燐光《りんこう》の樹液《じゅえき》がいっぱい脈《みゃく》をうっています。
底本:「イーハトーボ農学校の春」角川文庫、角川書店
1996(平成8)年3月25日初版発行
底本の親本:「新校本 宮澤賢治全集」筑摩書房
1995(平成7)年5月
入力:ゆうき
校正:noriko saito
2009年8月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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